file22:富樫万理さん

私の起業STORY 私スタイル file22

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


富樫万理さん (株)サクラ・ラボラトリー(新潟県)
「結婚を機に新天地でビジネスをリスタート」

材料の枝葉は自ら山まで取りに行く

大学院大学で教員をしていた富樫万理さんは、成分分析の中で抽出されてきた香りや色から香りのビジネスを考える。結婚を機に新潟県村上市に移り住み、新潟県産のものを使ったものづくりとして、天然香料の製造・販売を行っている。

大学教員から起業家へ

Q:HATSUMEというブランドで製品を販売されているのですね。

富樫:新潟県産のものを使って商品を作ろうというコンセプトで、女性2人でやっているブランドがHATSUMEです。私は村上市の杉や檜、関川村の黒文字(クロモジ、クスノキ科)などから精油を作っています。林業家さんからいただいた間伐材や枝葉から香りを抽出し、瓶詰をして店舗に納品しています。

HATSUMEブランドのエッセンシャルオイル

Q:事業を始めたのはいつごろですか。

富樫:会社を作ったのは2010年ですね。浜松市の光産業創生大学院大学で准教授をしていたときです。この大学は起業家を育てることを目的にしていて、教員も会社を作って兼業をすることができました。ここで竹からバイオエタノールを作る研究などをしていたのですが、成分分析をするときに香りや色が抽出されてきます。そうした自然の香りは市場であまり見かけないなと感じたところから起業を考え始めました。

Q:起業には迷いはなかったですか。

富樫:会社を作るところが精神的なハードルとして一番大きかったです。兼業をしていいということもあり、周りに反対する人もいなかったので、10種類くらいの香りの抽出ができたら会社の準備をしようと考えました。それができたので、やろうということになりました。初めは三ケ日のみかんや天竜杉を扱っていましたが、大学の仕事もあって販売するところまではいけませんでした。

結婚、出産を経てのリスタート

Q:村上へはどういった経緯で移られたのですか。

富樫:村上へは嫁いできました。2012年に来て、新潟県の山の美しさに感動して森の香りを作りたいなと思いました。ただ、妊娠もしていたので、産むまではこちらの生活と、大学に残していた仕事をしていました。その後、主人がNICO(にいがた産業創造機構)さんの起業道場を紹介してくれて、参加しました。そこで新潟の香りを作りたいと言ったところ、それはいいんじゃないかという声をいただき、林業家の人を紹介していただいて試作を始めました。

Q:起業道場への参加で具体的に動き出したのですね。

富樫:参加者のみなさんもそれぞれやろうとしていることがあって刺激になり、終わるころにはあとは精油を作るだけだという気持ちになっていました。香り自体はある程度取れていましたが、販売するならパッケージがいると思い、起業道場で知り合ったグラフィックデザイナーの金子敦子さんに相談しました。そこで彼女からHATSUMEブランドというのをやりたいという話があり、是非一緒にやらせてくれというので始まりました。2013年の11月に金子さんに相談をして、オープンしたのが2014年の5月でした。

Q:そこから生産・販売となるのですね。

富樫:販売先として最初にご紹介いただいたのが新潟市の新津美術館さんでした。それから新潟ふるさと村さんなど取扱いいただける先が決まってきて、その後も少しずつ販売先を広げています。生産も初めは全部一人でやっていたのですが、関川村の黒文字は村の方に協力いただいていて、材料から蒸留までお願いしています。

ひとつひとつ丁寧に香りを抽出する

Q:起業道場とはどのような場なのでしょうか。

西條:昨年度まで5年間、NICOの委託を受けて、特定非営利活動法人ワーキングウイメンズアソシエーションが企画運営した女性向けの起業塾です。それまで商工会連合会さんでやっていた女性向け創業講座が無くなってしまい、NICOさんに企画書を出したのが始まりです。支援というのはプランを書いておしまいではなくて、実際に動き始めてからのアフターフォローが大事だと思いますね。それで年に一度、同窓会をやっています。また、何かあった時に相談できる人、宣伝してくれる仲間がいるところですね。

やり始めるといろいろな対応策が見えてくる

Q:苦労したことはどのようなところですか。

富樫:一番苦労したのは販売です。また、値段のつけ方も悩みました。諸経費を考えて赤字にならないように決めたのですが、商売上のノウハウを一切知らなかったので苦労しましたね。ありがたかったのは、主人に原価計算について最初にしっかり教えてもらえたことです。初めはいろいろなことが分からなくて、それは苦労といえば苦労なのですが、楽しかったといえば楽しかったです。今もそうですが、1つできれば、次はどう原価を下げよう、蒸留器を2台にすれば下げられるかなと、やり始めるといろいろな対応策が見えてきます。

Q:今後の展望を教えていただけますか。

富樫:もう少し規模を大きくして、安定的に経営できるようにしたいです。また、村上で女性が働ける場所も少ないと思うので、できれば雇用できる会社にしていきたいというのがあります。去年は妊娠していて少し停滞しましたが、ここ数か月でまた動き出しました。子供がまだ小さく、あまり大きなアクションをできないところはあるので、急拡大する予定はないのですが、タイミングを見て徐々にいろいろなことをやっていければなと思っていますね。

富樫万理氏と起業応援サポーター 特定非営利活動法人ワーキングウイメンズアソシエーションの西條和佳子氏

(起業応援サポーターリンク:特定非営利活動法人ワーキングウイメンズアソシエーション)

女性起業家プロフィール

株式会社サクラ・ラボラトリー

プロフィール
会社名:(株)サクラ・ラボラトリー
代表者:富樫万理社長
業種:天然香料の製造・販売、コンサルティング
Website:http://sakuralabo.com
http://hatsume.thebase.in/

起業応援サポータープロフィール

特定非営利活動法人ワーキングウイメンズアソシエーション
住所:新潟県新潟市西区平島1丁目16番地5
電話:025-233-5983
Website:http://www.wwa-n.com
E-MAIL:wwa-admin@wwa-n.com

取材・文・撮影/ 霜田 亮(中小企業診断士、弁理士、社会保険労務士)

1981年生まれ。同志社大学法学部退学。大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了。2016年4月独立開業。弁理士として多くの技術を見てきた経験を活かした製造業の支援が得意。「技術力を経営力に変えるお手伝い」をモットーに、事業計画作成や資金調達など多岐にわたって企業のサポートをしている。