file20:石田恵海さん

私の起業STORY 私スタイル file20

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


石田 恵海さん Terroir 愛と胃袋(山梨県)
「八ヶ岳を豊かなテーブルに」

Terroir 愛と胃袋 石田恵海さんと生まれたばかりのご三男

編集者・ライターとしてフリーランスで活動するかたわら、夫でシェフの鈴木信作さんと2017年4月に新たにオーガニックレストラン「Terroir 愛と胃袋」をオープンし、オーナーを務める石田恵海さん。佐久甲州街道にあった甲州最後の宿場、長澤宿にたたずむ築170年の古民家をロケーションに、3人の子育てをしながら、地域交流を大切にし、八ヶ岳を盛り上げたいと語る。

築170年の歴史ある古民家 / 自然と一体化したレストランの外観

お客様に八ヶ岳を故郷として提供したい

Q:現在のお仕事をお聞かせください。

石田:現在は、子どもが生まれたばかりなので、なかなか現場に出られないんですが、レストランの経営です。経理や広報、人事、イベント企画などバックオフィスですよね。夫はシェフなので、料理のことに専念してほしいので、できるだけお店の運営に関わることは私が引き受けるようにしています。飲食業って編集業にすごく似ているんです。企画力、デザイン力、発信力、発注力なんかも大切で、季節を少し先取りして考える。なので、編集の仕事で培った経験も生きていると感じています。

Q:三軒茶屋(東京)で経営されていたレストランをたたみ、こちらにいらした理由を教えていただけますか。

石田:子供が小学校に上がる前に家を建てようか考え、最初は世田谷区で店舗兼住宅を探していましたが、なかなか予算と希望する規模が見合う物件に出合えなかったんです。そのうち、うちのお店は、たとえば完全放牧で育った牛や平飼いの鶏の卵など、自由に生きている畜産を使っているのに、自分たちの暮らしぶりは密飼いのようではないかと、その矛盾に気づいたんです。東京でお店をする必要性ってまったくないよね、と。そこで、既存の東京のお客様も来やすい場所と考えて、東京から二時間以内の環境がよい場所を探し始めたんです。
そのなかで山梨県の北杜市にピンときました。東京では子連れのお客様も多かったんですが、子供ができたときに初めて行く旅が星野リゾートさんの「リゾナーレ八ヶ岳」というケースがすごく多かったんです。初めて八ヶ岳を訪れて気に入られて、その後、二度目三度目と足を運んでいただくきっかけづくりとして、うちのお店があったらなと考えました。
また、山梨は日本ワインのメッカであることや、今ちょうど長男が通っている「南アルプス子どもの村小学校」が通える距離にあったこと。それも移住の後押しになりました。東京からこちらへ来ると、田圃が広がる風景や、富士山に八ヶ岳、南アルプスに茅ヶ岳が四方に見られる光景は、都会に住んでいる人にとって心象風景としての「田舎」のイメージに近いと思いますから、「マイ田舎」として楽しんでいただけたらと思っています。

新天地での新しいネットワークづくり

Q:こちらにいらしてすぐに起業されたのですか。

石田:開業したのが2017年の4月の中旬ですね。三軒茶屋で丸4年お店をやっていたんですけど、2016年1月にこちらへやってきて、1年間準備をしました。

Q:ではしっかり準備をなさっていたわけなんですね。

石田:物件がなかなか見つからなかったので、結果的に準備期間が長くなっただけなんですけどね(笑)。それでも後々考えると、1年しっかり準備できたことはよかったとは思っています。焦りながらも物件を探しつつ、生産者さんを巡ったり、物件も決まっていないのに地元の作家さんにオリジナルの器を製作してもらったりしてたんです。
また、こちらは農に関わるイベントやマルシェなども多いのですが、そういったイベントにしょっちゅう参加して勉強したり、ネットワークづくりをしていきました。この物件に出会ったのは、移住をして半年くらい経った頃。物件がなかなか決まらない私たちを心配して生産者の方が紹介してくださったのですが、まさかこんな大きな古民家とは思わず、最初にここへ訪れた時はこの古民家の大きさと状態の良さに圧倒されて、言葉が何も出ないくらいでしたね。

おもてなしの空間(レストラン客席)


Q:bond placeさんがご支援された内容をお聞かせいただけますか。

芦澤:石田さんは、昨年始まった「女性の起業を応援するプロジェクト(co+shegoto)」の1期生です。このプロジェクトは県から私たちNPOが受託し、開催しました。石田さんのような、もともと経営の経験もあり、能力のある人がなぜ参加するんだろうと思っていましたが、知らない土地で起業する人たちにとって、地元の人たちと触れ合う場なんですね。創業スキルだけではなく、人との関係性をつくるためにも利用してもらってもよいのかなって、彼女のケースを見て感じました。


テロワール(大地の味わい)を生かすレストラン事業

Q:今後の展望をお聞かせいただけますか。

石田:「山梨中銀地方創生基金」の助成金をいただいているのですが、その計画では3年以内に、ここをオーベルジュ(宿泊できるレストラン)にする予定なのです。ですので、来年にはお客様が泊まれるようにしたいなと。
また、「ダイニングアウト」という日本のどこかで数日だけオープンするプレミアムな野外レストランをつくる素晴らしいプロジェクトがあるんですが、私たちはそれをもじって「ダイニングホクト」を来年にはやるつもりでいます。私たちのお店の名は「Terroir愛と胃袋」ですがm「Terroir(テロワール)」とはフランス語のワイン用語で「大地の味わい」というような意味です。その土地ならではの土や水などの環境、生産者や技術者といった人材が合わさることでできる味わい、それがテロワール。ですから、店舗の中だけにとどまらず、酒蔵や畑、森など八ヶ岳らしいロケーションの中で、この土地ならではの食材を使ったお料理を提供するレストランイベントを開催していきたい。八ヶ岳を一緒に楽しんで料理で盛り上げていく。そういう存在でありたいのです。

石田恵海氏と起業応援サポーター NPO法人 bond place芦澤香氏 

(起業応援サポーターリンク:NPO法人 bond place)

女性起業家プロフィール

Terroir 愛と胃袋
プロフィール
石田 恵海
法人名・屋号:Terroir 愛と胃袋
業種: レストラン
Website:http://www.aitoibukuro.com/index.html

起業応援サポータープロフィール

NPO法人 bond place
芦澤 香
住所:山梨県甲府市貢川本町7-24-101
TEL:080-5098-4393
FAX:055-225-5921
Website:https://www.bondplace.org/

取材・文・撮影/ 古賀 雄子(中小企業診断士、税理士)

山口県下関市出身。大学卒業後、金融機関にて、金融商品・信託商品の企画・運営、システム企画等数々の業務を経た後、小売業で管理会計・LSP・業務改革を経験。税理士事務所を開業し、会計・税務・経営等の総合コンサル等に従事。東京都、埼玉県をはじめ関東全域で、商工会議所や公的機関などの派遣専門家としても活動している。