file16:田村雅美さん

私の起業STORY 私スタイル file16

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


田村雅美さん エピテみやび リアルパーツ・人工ボディ製作所(群馬県)
「“エピテーゼ”で笑顔をもっと増やしたい」

指と乳房の見本を手に持つ田村雅美さん

2005年に米国を訪れた歯科技工士の田村雅美さんは、欠損した顔面が人工ボディ(エピテーゼ)で回復した瞬間に男性が笑顔を取り戻す瞬間に出会う。感動が忘れられず、帰国後に日本でも技術を習得できることを知り、約1年かけて通学。2017年1月に人工ボディ製作工房「エピテみやび」を設立。「お指」と「おっぱい」と「笑顔」をつくる、をキャッチコピーに活躍している。

知らずに困っている人がいる。必要な人にもっと届けたい。

Q:エピテーゼ(人工ボディ)とはどのようなものでしょうか。

田村:事故や病気などで失った指や乳房などの体の一部を元通りに見えるようにするための、取り外し可能な人工ボディです。取り外しが簡単にでき、自分の肌の色に合わせて作成して、濡れても変形や劣化することがなく、装着した状態で温泉に入っていただくことも可能です。ただ、日本では知名度が低く、まだまだ普及していません。医療技術で修復が困難なケースでも、エピテーゼが外見を回復する選択肢としてあることを知ってもらい、希望を持っていただければ嬉しいなと思っています。

エピテーゼ普及のために持ち歩いている耳のイヤリング、指、小さな乳房の見本

Q:どうして創業しようと思われましたか?

田村:最終的に背中を押してくれたのは乳がんで胸を失った友人の一言でした。「知らなかった。あれば人目を気にせずに、温泉にも行けたのに!それを社会に広めて欲しい」と。2005年にアメリカの大学を見学した時にエピテーゼに出会って、日本でも技術を習得できることを知り、気軽な気持ちで学び始めました。その時は事業化するつもりは無かったのですが、たまたま話をしていた友人がポロっと「乳がんなの」と告白してくれました。エピテーゼを知っていれば気分も違ったし、心の回復も早かったと話してくれました。身近で知らずに困っている人がいる。もっと社会に広めて、困っている人の役に立ちたいと思ったのが最初のきっかけです。

一生に一度の人生だから、カッコ良く行きたい

Q:創業への一歩はどのように踏み出したのでしょうか。

田村:地元群馬県甘楽町の創業塾に2016年に通ったところから始まりました。30歳を過ぎて、自分の将来をどうしようか悩んでいた時に、一生に一度の人生だし、と思い切って勤めていた歯科医院を辞めました。そこで町の広報誌で創業塾を知り通い始めました。

Q:創業塾に通ってみていかがでしたか?

田村:自分は今何ができるのか真剣に考える機会でした。24時間でも座ってやり続けられるほど好きな「ものを作る」仕事しか自分にはない。知人が背中を押してくれたエピテーゼを広める仕事しかないと思いました。創業塾が終了した後も知り合った人たちから紹介してもらい、先輩起業家の話を聞いたり、異業種交流会などのイベントに出かけたりして、今年の春からは起業家育成を行う群馬イノベーションスクールの短期コースの選考に通り、つい先日修了しました。

Q:群馬イノベーションスクールはいかがでしたか?

田村:2017年1月に開業した自分の事業について客観的な意見をもらえたことは大きかったのです。自分にはもうエピテーゼが当たり前のものになっているのですが、初めて聞く人がどんな疑問を持つのか、繊細な体に関わる話をどこまで話して良いのか良くないのか。色々な意見をもらえました。

Q:無料でビジネススクールに通えるとは、すごいですね。

田子:私自身も群馬イノベーションスクールの卒業生ですが、群馬に生まれて良かったと思っています(笑) 群馬は熱心な起業家が多いです。眼鏡ブランド「JINS」の田中仁社長が群馬の起業家支援に活発に取り組んでくださる影響は大きいです。

ありのままの自分で生きられる世の中を作りたい

Q:創業する準備はいかがでしたか?

田村:「私、指が無いのです」と公に言う方はいないので、困っている人はたくさんいるはずなのだけど、どこにいるのかわからないのが一番の悩みでした。今も悩みです。お客様は待っていても来ないので、参加したセミナーでプレスリリースのことを知り、群馬よろず支援拠点でプレスリリース作成の支援をしてもらいました。複数のメディアに取材をしていただくことでお客様が増えていきました。ただ、乳房などの情報は誤解を受けることもあり、今もどうしたら正確な情報を多くの人に伝えられるか悩み、試行錯誤を重ねています。

田村雅美さんの作業風景

Q:事業の相談はどこにされるのでしょうか。

田村:経営者仲間にはもちろん相談するのですが、時間を取ってしまう遠慮があるので、先ほどの群馬よろず支援拠点や前橋市創業支援センターは相談しやすくありがたいです。

田子:相談会の日にちは決まっていますので、その時に行くか、個別に相談がある場合はいつでも受け付けています。

Q:創業して何か変わりましたか?

田村:人生が大きく変わりました。人から得られる評価や刺激で毎日が生き生きとして充実しています。頑張った分だけ、直接「ありがとう」が返ってくるのが嬉しいのです。今後はさらに新しい価値観を提供していきたいと考えています。日本では対応が遅れている性同一性障害の対応、医療機関や教育機関との連携、ファッション商品の提案から、「人と違うのは当たり前」と言う文化を広めていきたいです。誰かの役に立ちたい、笑顔が見たいと言う思いで自分の想像以上に世界が広がりました。これからもそう信じています。

お姉さんのような存在である、前橋市創業支援センター田子宏美氏(右)と。

田村雅美氏と起業応援サポーター 一般財団法人前橋市起業支援センター田子宏美氏 

(起業応援サポーターリンク:一般財団法人前橋市起業支援センター)

女性起業家プロフィール

エピテみやび リアルパーツ・人工ボディ製作所
プロフィール
会社名:エピテみやび リアルパーツ・人工ボディ製作所
代表者:田村雅美
業種:リアルパーツ・人工ボディ製作
電話:050-5866-9795
Website:https:// www.epitemiyabi.jp

起業応援サポータープロフィール

一般財団法人前橋市起業支援センター

住所:〒371-0022 群馬県前橋市千代田町2-7-10
TEL:027-221-2500
Website: http://mbic.jp/
E-mail  info@kishisen.com

取材・文・撮影/ 松本典子(中小企業診断士、事業承継マネージャー)

カナダ、モントリオール生まれ。介護事業運営会社に人事として、約10年勤務した後に経営コンサルタントとして独立。神奈川県内の支援機関を中心に創業相談、創業セミナー講師、窓口での経営相談を行う。女性起業家に寄り添った支援を得意とする。