file14:島田利枝さん

私の起業STORY 私スタイル file14

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


島田利枝さん マリーのメガネ、わらくや(栃木県)
「持っているものを生かし新しい分野に挑戦」

メガネ店勤務の経験を生かし、高齢者など外出が困難な方への訪問販売を専門とする「マリーのメガネ」を起業。その後、メガネ店を経営する中での気づきと、創業塾で知り合った仲間のアドバイスによって、障がいを持つ方の就労を支援する多機能型事業所「わらくや」を開所。

リストラ経験が起業のきっかけに

Q:メガネ事業で起業されていますが、きっかけを教えていただけますでしょうか。

島田:長くメガネ屋で販売員や技術者をしていたのですが、東日本大震災のあと、事業の縮小によってリストラにあいました。別な就職先を探したのですが、震災後はどこも状況が悪く、雇ってくれる店は見つかりませんでした。
困ったなあと思ったのですが、メガネしかできることはない。とにかくひとりでできることを考え、メガネの外販、訪問販売を始めてみたのがスタートです。

Q:その後、創業サポートアカデミーに通われるのですね。

島田:始めてはみたものの、どこに行って何をしたらいいのか、まったくわかりませんでした。いままでは店でお客さんが来るのを待っていればよかったのですが、今度はそうはいかない。どこからも問い合わせがなくて、このままでは大変だ、と思っていました。
そんなとき、インターネットで偶然、創業サポートアカデミーのページを見つけました。「こんなことを教えてくれるところがあるんだ!」と思って、早速、申し込みをさせてもらいました。

Q:創業サポートアカデミーではどんなことを学ばれましたか

島田:事業計画書と資金繰り表を作ること、そして理念を計画書に落とし込むことの大切さだったと思います。でもいま考えると、その重要性について当時はわかってなかったですね。
それでも創業補助金の募集が始まる時期だったので、作らざるを得なくなって。教えられたままに計画を立て、いろいろな人に相談に行き、なんとか作り上げて、応募しました。幸い、採択していただいて、一歩前に進むことができました。
それと創業サポートアカデミーに参加することで知り合えた人脈も大きかったです。同時期に学んでいた福祉事業をしている人との出会いが、のちに自分が福祉の道に入っていくきっかけにもなっています。

ご主人の病気をきっかけに新しい分野に挑戦

Q:福祉事業を始めた経緯はどんなことだったのでしょうか

島田:私の家族に障がいがあるものがいて、最初そのことを、福祉事業をしている創業サポートアカデミーの同期の方に相談をしていたんです。
そのころ主人が体調を崩してしまって。医療関係の仕事をしていたのですが、それを辞めることになりました。話をしていると、これからは一緒の仕事ができたらいいな、ということになって。どうしようかと考えていたところ、その同期の方から「福祉の事業所をやってみたら? ご主人はいままでの経歴から言って必要な資格を取れると思うし、実際の現場は島田さんがやればいいと思う」とアドバイスをいただいたのです。

私がやっていたメガネ屋は、高齢者や障がい者など外に出ることが難しい人に呼ばれていくことが多かったのです。そこで感じたこともありましたから、メガネの仕事を生かして障がいのある方の就労支援もやっていければ、自分の持っているものを生かして新しい分野にも挑戦できる、と思いやってみようと決意しました。

Q:起業をするにあたって、不安はありませんでしたか。

島田:もちろんありました。施設を準備するには融資を受けないといけない。それは借金を背負うということですよね。そんな経験はしたことがないですから。
それを克服できたのは、障がいのある自分の家族を通して感じていたことを実現したいとの思いでした。利用のする側の目線が反映された施設が欲しいと思っていたんです。だから自分が利用したくなる施設を作って、自分や自分の家族と同じような思いをしないですむ人が一人でも出てくればいい、という情熱が支えになりました。

Q:起業して大変だったことはどんなことでしょうか。

島田:こういう事業ですから、さまざまな許認可を得なくてはいけないのですが、お願いしに行ったからといって簡単に認可されるわけではありません。実際、立ち上げてから開所するまで1年3か月かかっています。
説得していくのに役に立ったのが、事業計画書と資金繰り表でした。計画をもとに未来に対してのビジョンを、情熱をもって説明していくと、協力してくれる方が増えていきました。最後はみなさん、ものすごく応援してくださるようになっていきました。
創業サポートアカデミーで学んだことの大切さを本当に実感できたのはこの時期だと思います。

古沢:島田さんの場合は、とても良い先行事例になっているので、先輩起業家として、創業塾などのパネラーをお願いしたりしていて、いまでは産業振興センターのほうがお世話になっています。

わらくや事務所にて

なにがしたいのか明確にすれば応援者は現れる

Q:これからの目標を聞かせてください。

島田:利用者の方の中から、スタッフのサポートをしてもらえるような人を育てたいと思っています。そうすることで、現在のスタッフが一段、高い仕事ができるようになり、私たち役員は新しいチャレンジに取り組んでいけるようなると思います。
また、障がい者雇用はまだ難しい部分があって、就職しても職場になじめず短期で辞めてしまう人が多いのが現実です。弊社の中で働いてもらえれば、働くと同時にケアもできるので、お互いにとってメリットはあると思っています。

Q:起業を目指す方に一言、お願いします。
島田:かなり覚悟がないとやっていけないとは思うのですが、私自身、最初からそんな覚悟があったわけではありません。やっていくうちに覚悟が固まっていきました。やってみないとわからないこともあるので、まずチャレンジしてみることは大切だと思います。
そのとき大事なのは、自分がなにをしたいのか整理していくことです。ビジョンが明確でないと周囲の人に理解してもらうことは難しいですし、理解をしてもらえれば、応援してくれる人も現れてきます。そのために事業計画はとても大切になるので、それを作ってみること。作り方を教えてくれる場所もあるわけですから、そうしたところで学んでみるのもいいと思います。

島田利枝氏と起業応援サポーター 公益財団法人 栃木県産業振興センター古沢氏 

(起業応援サポーターリンク:公益財団法人 栃木県産業振興センター)

女性起業家プロフィール

マリーのメガネ、わらくや

プロフィール
事業所名:マリーのメガネ、わらくや
代表者:島田利枝
業種:高齢者専門眼鏡店、多機能型事業所
http://www.mariesglasses.com/
http://warakuya.tochigi.jp/

起業応援サポータープロフィール

公益財団法人・栃木県産業振興センター

住所:栃木県宇都宮市ゆいの杜1-5-40
TEL:028-670-2607
Website:http://www.tochigi-iin.or.jp/

取材・文・撮影/ 中郡 久雄(中小企業診断士)

昭和40年生まれ。明治大学政治経済学部経済学科卒業。2013年10月中小企業診断士登録。自身が中小企業に勤務してきた経験を生かし、中小企業ならではの強みを生かすような支援を心掛けている。また、経営者の思いが言葉になり、メッセージが広く伝わるお手伝いとして、インタビューを中心とした執筆活動にも力を入れている。