file13:今城恵美さん

私の起業STORY 私スタイル file13

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


今城恵美さん cozuchi3302(栃木県)
「理解と応援を得ながら、コツコツと事業を拡大させる」

栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺で、お母様と一緒に飲食店を切り盛りしている今城恵美さん。お店のメニューとして開発したスコーンが評判を呼び、単体で販売することを決意。「菓子製造業」の許可を得るために、バックヤードを「スコーン製造工房」に改装した。資金はクラウドファンディングで調達。現在、百貨店などからの引き合いも増え、また宝積寺駅前に高根沢町が整備したお試し創業施設「クリエイターズ・デパートメント」にも出店した。

「自分で食べたい」と思えるものを作ったのがすべての始まり

Q.起業のきっかけを教えてください。

今城:母親と飲食店を営んでいます。もともと母がやっていたお店で、子どものころから手伝いはしていました。
栃木の地元食材を利用して、飲食店のメニューとして提供できるものはないかと考えていました。手軽に作れてお酒のおつまみにもなって自分も食べたいと思えるもの、ということでスコーンを作ってみました。
店内で出してみたら好評で、「これならもっと外でも売っていこう」、と思い、スコーン単体でも事業化を考えました。

Q:それからどういう行動をされましたか

今城:店舗以外で販売するには、菓子製造業の許可がいるのがわかったので、それを調べました。町役場や商工会に相談に行き、そこで栃木県産業振興センターを紹介されて、創業塾の受講を進められました。
飲食店の経験が長く、頭でっかちになってしまっている部分があるな、と感じていたので、いったん、リセットして取り組まないといけないと思って、受講を決めました。

創業塾で学んだことがすべての基礎になった

Q:創業塾ではどんなことを学ばれましたか

今城:事業をしていくためのきちんとした流れですね。飲食店でなんとなくやっていた目標の立て方、お金の管理などを学べました。
特に「事業計画書」を書くように強く指導を受けたことは役立ちました。書いていくと頭の中が整理できてきました。起業したばかりのころは夢ばかり見てしまい、お金など見たくないものから目を背けてしまうことも多いのですが、しっかりと現実を見据えることができました。
また、計画書があるとそれをもとに、いろいろな人に相談ができます。それをどんどんブラッシュアップしていきました。自分の想いを言語化できていきましたし、決心も固まっていったと思います。

古沢さん:創業塾には、初級編と上級編があるのですが、今城さんは両方とも受講されています。上級編の中で、ビジネスプランコンテストに出ないかという話になり、実際に応募して、最終選考の5名に残りました。

今城さん:パワーポイントをどう作ればいいかもよくわからず、いろいろと教えていただき、応募できました。メディアになどにも取り上げていただいて、いろいろなところから引き合いをいただくきっかけになりました。大変でしたが、アドバイス通りに応募してよかったと思います。

Q:起業をするにあたって、不安はありませんでしたか。

今城:実はぜんぜん不安に思わずに始めてしまいました。「スコーンは売れないんじゃないか」と言われることもありましたが、「じゃあ売れるためにどうすればいいのか」と考えて進んでいかないと、いつも思ってきました。
逆に事業が進むにつれて、現実が見えてくることで不安を覚えることも出てきました。でも、やるしかない。基盤を作るのに3年かけました。県や町の方に、PRをしてもらっています。ここで止めるわけにはいかない、引くに引けない状況を作っています。

Q:一番困ったことはなんでしょうか

今城:菓子製造業の許認可を取るのが一番困りました。菓子製造のための別なスペースを確保しないといけない。場所は飲食店のバックヤードを改装すると決めましたが、問題は資金です。そこでクラウドファンディングに挑戦してみました。やってみたら、飲食店のお客様や知人、面識のない方でも、私の考えに共感してくる方が出資してくれました。
人からお金は借りにくい。でもクラウドファンディングであれば、出資という形で応援してもらいやすくなるんだと思いました。結果、改装費は調達できて、許可も無事におりました。

Q:支援機関の方からどんな支援を受けていますか

今城:なにかあればすぐに相談に伺います。折に触れてアドバイスをいただいていますし、補助金のことなど、情報収集はいつも意識していて、どこを見れば情報が手に入りやすいかなども教えてもらっています。
今回、宝積寺駅前にお店を出せたのも、そうやって情報を集めていて、すぐに応募できたからだと思います。

心を開いて相談してみると道は開ける

クリエイターズ・デパートメントでスコーンを販売

Q:これからの目標を聞かせてください。

今城:事業は拡大していきたいですが、無理はしないつもりです。まずは欲張らず、一人でできる範囲で、サポートしてくれるスタッフも育てながら、将来、夫婦二人で高齢になっても続けていける仕事を意識して種まきをしている感じです。
売上目標をきちんと立ててそれを達成していく。飲食店とバランスを取りながらスコーン一本で生活できるようになる目標を立てて、それを目指しています。

Q:起業を目指す方に一言、お願いします。

今城さん:まず、家族の理解を得ることですね。家族との関係がおかしくなっては本末転倒ですから。「事業計画書」は家族に説明するときにも役に立ちます。ビジネスの視点でアドバイスをくれることもあるし、そうやって理解を深めていくきっかけになると思います。
そして、家族を含めいろいろな方に心を開いて相談してみることです。お金のことなど隠したくなるけど、心を開けば助けてくれる人はいるんだと実感しています。もっと早く相談すればよかったと思っているくらいです。「困っています」と言うのも悪くないと思いました。
あと、修正する気持ちを忘れないこと。最初はどうしても無理をしてしまい、決めた通りに進めないとだめだと思いがちです。でも「違うかも」と感じたら、軸がぶれない範囲で修正をしていくのはとても大切だと感じています。
大きな会社が最初から大きな会社だったわけではありません。まずはコツコツ始めていくことが大切だと思います。

今城恵美氏と起業応援サポーター 公益財団法人 栃木県産業振興センター古沢氏 

(起業応援サポーターリンク:公益財団法人 栃木県産業振興センター)

女性起業家プロフィール

cozuchi3302

プロフィール
店舗名:cozuchi3302
代表者:今城恵美
業種:スコーンの製造・販売
http://cozuchi3302.shop/

起業応援サポータープロフィール

公益財団法人・栃木県産業振興センター

住所:栃木県宇都宮市ゆいの杜1-5-40
TEL:028-670-2607
Website:http://www.tochigi-iin.or.jp/

取材・文・撮影/ 中郡 久雄(中小企業診断士)

昭和40年生まれ。明治大学政治経済学部経済学科卒業。2013年10月中小企業診断士登録。自身が中小企業に勤務してきた経験を生かし、中小企業ならではの強みを生かすような支援を心掛けている。また、経営者の思いが言葉になり、メッセージが広く伝わるお手伝いとして、インタビューを中心とした執筆活動にも力を入れている。