file06:田山縫袋さん

私の起業STORY 私スタイル file06

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


田山 縫袋さん 仕立て屋りゅうのひげ デザイン・縫製・販売(埼玉県)
「マイブランドの作品を世に出したい」

若いころから縫製ひとすじに働いてこられた田山さん。子育て中も自宅でミシンを踏み続け、テーマパークの衣装作成も任されるなど、その技術はクライアントからも信頼されるものでした。子育てと両立しやすく、自分の技術が活かせる仕事に満足していたはずの田山さんが起業された理由とは何だったのでしょう? その過程とともにご紹介します。

体調を崩したことで「時間は有限だ」と気がついた

Q:最初に田山さんのお仕事を教えてください。

田山:フリーの仕立て屋です。「りゅうのひげ」という屋号と、「田山縫袋(たやまぬいたい)」というビジネスネームで活動しています。現在埼玉県行田市にアトリエ工房を借り、行田の伝統的な産業である「足袋」からヒントを得た作品を開発・販売しています。

Q:「りゅうのひげ」も「縫袋」も、ちょっと変わったお名前ですね。

田山:「りゅうのひげ」(注1)は仕事を枯らさず長く続けられるように、「縫袋」は「いつも縫っていたい」という気持ちを「田山花袋」にあやかってつけました。

Q:なぜ起業しようと思われたのですか?

田山:縫製の仕事は完全に下請け作業で、どんなに難しい仕事をこなしても名前が表に出ることはありません。「名前の出る仕事がしたい」と漠然と思いながらも、依頼される仕事を日々こなしていたのですが、頑張りすぎて体を壊し仕事ができなくなってしまいました。その時「人に与えられた時間は限られている」ということを実感しました。その後仕事に復帰したのですが、「このままの人生で良いのか?」と疑問に思うようになりました。

私はパタンナーでもあるので、デザイナーさんが書いたデザイン画を見てパターンを作成し、縫い上げるまでのすべてをお引き受けしています。平面の絵を立体にするという一番大変な作業をしているはずなのですが、作品のどこにも自分の名前が出ない。洋服にブランドを表す「織りネーム」というタグがついていますよね? あれを縫い付けているときに、「人のネームをつけている場合じゃないな」と、そんな気持ちがフツフツと湧いてくるようになりました。

公的機関が主催だから安心して参加できた「女性創業セミナー

Q:起業に当たってはどんな準備をされましたか?

田山:技術に関しては誰にも負けない自信があったのですが、どう売れば良いかが全くわかりませんでした。そこでインターネットで情報収集を始めました。起業について調べていると、高額な費用がかかるものや、目的が明確でないものなど、多くのセミナーの情報がありました。そんななかで、県が行っている「女性創業スタートアップ塾」は費用負担も少なく、公的なところが主催という安心感がありました。全く知らない所に飛び込むことに躊躇もありましたが、何より下請けから脱却したいという気持ちの方が強く、参加することを決めました。そこで起業や経営について体系的に教えてもらった事は、起業への大きなステップアップになりました。

Q:支援者の池田アドバイザーとはそこでお会いになられたのですか?

池田アドバイザー:はい、私が女性創業スタートアップ塾の一コマを担当したことからのご縁です。その後、私もアドバイザーとして在籍していたCOCOオフィス(注2)に、田山さんが入居され、引き続きお手伝いすることになりました。

Q池田アドバイザーからもらった支援の中で一番印象に残っていることは何ですか?

田山:「やらないことを決めなさい」と言われたことですね。私はアパレルに関することは一通り何でもできるので、楽しそうなことがあると、どんどん自分でやってみたくなるんです。でも、それでは強みを活かした仕事にならない。自分の「強み」を何度でも見つめ直すようアドバイスをいただいたことで、本当にするべきことが見つけられました。

池田:販売時の「見せ方」についてもアドバイスしたのを覚えていますね。展示会に出展された時、田山さんが並べた商品を、私がどんどん減らしていったり(笑)。作る人にありがちなのですが、作ったものを全部見せたくて、沢山並べてしまうんです。でもそれではお客様には良さが伝わらないんですよね。
田山:そうでしたね! 今でも商品を並べながら、「これ並べすぎかな、減らした方がいいかな」って考えます。この他、価格設定や確定申告などについても沢山のアドバイスをもらいました。

Q:具体的なアドバイスをしてくれる方がいつも近くにいることは本当に心強いですね。

田山:はい、わからないことはわかっている方に聞くのが一番早い。その人がすぐそばにいてくれる、というのはとてもありがたいことです。アトリエに移転した今も、何かあるとメールなどで相談させてもらっています。もし女性創業スタートアップ塾に参加せず、そこで出会えたアドバイザーや仲間との縁が無かったら、今ごろはもう仕事を辞めてしまっていたかもしれないです。

広がる世界にマイブランドでチャレンジ

Q:起業して変わったことはなんですか?
田山:自分の名前を出した作品が作れるようになったのはもちろんですが、今までには考えられなかったようなチャンスに沢山出会えるようになりました。公的機関が開催する展示会に出展させてらったり、問屋さんと直接取引ができるようになったり、世界が大きく広がったのを実感しています。大変なこともありますが、それよりも喜びの方がずっと大きいです。あの時一歩踏み出してみて本当に良かったと思っています。

(注1)りゅうのひげ…日本原産の常緑多年草
(注2)COCOオフィス…埼玉県産業振興公社が運営する、女性起業家のための会員制ワーキングスペース。

  • 田山 縫袋氏と起業応援サポーター 創業・ベンチャー支援センター埼玉
    女性創業支援アドバイザー 池田 史子氏

(起業応援サポーターリンク: 創業・ベンチャー支援センター埼玉)

女性起業家プロフィール

仕立て屋りゅうのひげ

 

プロフィール

法人名・屋号:仕立て屋りゅうのひげ

代表者:田山 縫袋

業種:デザイン・縫製・販売

住所:行田市忍1-4-11 牧禎舎母屋

Website:http//www.facebook.com/ryunohige1015/

起業応援サポータープロフィール

創業・ベンチャー支援センター埼玉

住所:さいたま市中央区上落合2-3-2 新都心ビジネス交流プラザ3階

電話:048-711-2222
FAX:048-857-3921

Website: http://www.saitama-j.or.jp/sogyo/

取材・文・撮影/古澤登志美(中小企業診断士)

育児によるブランクを経て、ミニコミ誌作成会社に勤務。進捗管理の中、パソコン等機器のメンテナンスも任されるうち、一般家庭を含むパソコンのユーザーサポートの必要性に気づき2001年に起業。以降、IT系セミナー講師やITを活用した販促支援などにもその守備範囲を広げ、「教える力」×「解決する力」を強みとして、すぐ隣に寄り添うサポートを提供中。中小企業診断士、基本情報技術者、ミラサポ登録専門家。