file02:中川由紀さん

私の起業STORY 私スタイル file02

私スタイルで起業した女性達。
起業までにはどんなSTORYがあったのでしょうか。
ここにあなたの起業スタイルのヒントがあるかもしれません。


中川由紀さん 一般社団法人エンジョイ鳴子(東京都)
「大好きなふるさと鳴子温泉のために東京在住の私が出来ること」

「鳴子温泉が大好きです!」と、郷土愛にあふれる笑顔で、鳴子温泉についてお話される中川由紀さん。都会に住んでいる人に鳴子を知ってもらいたい、鳴子温泉を訪れてほしいという想いで、一般社団法人エンジョイ鳴子を立ち上げられました。今回はその起業についてのお話をお伺いします。

はじめは起業なんて考えてもいませんでした

Q:創業スクールに入られたきっかけは何だったんでしょうか?

(中川)パシオンTOKYO*1は2016年5月にスタートした施設なのですが、友人が第1回の起業塾の受講生だったんです。私は会社勤めを辞めて5年ほど経っていましたが、なかなか自分の思いを言葉に出来ずにいました。友人から勧められたのがきっかけで、参加をすることにしました。はじめは明確に何をやりたいかとか全くありませんでした。起業塾では、「自分が気になっていること、捉えている地域や社会の課題を掘り下げて、ビジョンを描きましょう」と、受講生同士で話し合います。私の場合、「父を亡くし、一人になった母の励みになればと、母が作っている鳴子の温泉卵を東京で販売出来ないかな」ぐらいのことを考えていました。それが、起業塾で皆さんと議論していく中で、「そうだ、私は鳴子温泉が大好きなんだ」ということに気がついたんです。
起業塾ではツリー型ロジックモデルというツールを学び、使ってきました。これは、目標から演繹的にどのようになっていれば目標を達成できるのか直前の状態を考え、さらに、事業アイデアをたくさん出していきます。そうすると、自分で気がつかなかったやりたいことが浮かび上がってきます。事業ありきで考えると、資金がないとか場所がないとかの課題が先行し、事業アイデアを広げる視野が狭くなります。この手法の場合、特定の事業にこだわらずに自由な発想でアイデアが出せます。

(藤岡)私は、東日本大震災発生後、被災地で起業支援をしました。被災地では、人も建物も何も無い状況で、夢を語ることしかできませんでした。でも、夢を語ると表情が変わり、その夢が前に進む力を与えてくれることを体感して、起業塾でも夢を語ることから始めるのが重要では無いかと気づかされ、以来この手法を取り入れています。
(中川)起業塾では、年齢もやりたいことも、経験も違う人たちが、自由に、いろんな事をそれぞれの視点で話し合っています。ですから、思いもよらなかったことに気がつきます。起業家同士、思いを共有したり、議論したりできることは心強いですし、苦手分野をサポートしあったり、お互いの経験を持ち寄ってよりよい関係づくりもできると思います。

*1パシオン東京:特定非営利活動法人男女共同参画おおたが運営する東京都の認定施設であり、主に女性向けの創業支援。

Q:具体的にはどのような事業をなさっていますか?

(中川)6月に法人登記しましたがまだ準備段階です。私のビジョンは「一人一人にとって鳴子温泉が自由で、自然で、あったかいふるさとになっている」です。ビジョンからツリー型ロジックモデルを活用し、事業群を考え事業の柱が3本立ちました。一つ目の柱は、鳴子の良さを東京の方に体感していただくための旅行業「鳴子温泉ほっとツアー事業」。そのために、旅行業務取扱管理者の資格を取りました。今は鳴子温泉で東京の方が楽しんでいただけるように、鳴子温泉のネットワークをつくることに力をいれています。二つ目の柱は、鳴子温泉の伝統工芸こけしを活かし、子どものための木のおもちゃを製造販売するための、商品開発を始めています。三つ目の柱として、現在は鳴子の商品を東京で販売しています。

Q:商品開発とはどんな事をやっておられるのでしょう?

(中川)鳴子の伝統こけしは、元来子どもを遊ばせるために作られたものだったそうです。最近は木育とこどもの発達の関係が注目されています。それで、木育という視点で開発出来ないだろうかと考えたんです。おもちゃとして子どもの頃は遊び、成長したらこけしにして飾る。そんな商品開発を地元の関係者の人に話を聞きながら、ネットワーク構築をしつつ進めています。また、鳴子でいかに楽しんでもらうかなどを地元の仲間と話し合いながら、観光のプログラムやツアーの企画を考えています。

Q:一般社団法人として設立された理由は何だったんでしょうか?

(藤岡)起業する際には、営利にするのか、非営利にするのか、お金を集めるのか?人を集めるのか?の違いで法人の形態をどうするかの説明をしています。出資を受けるならば株式会社でしょうが、中川さんの場合は多くの人が応援してくれるというのが大切なので、ビジョンを掲げながら人を集める一般社団法人がよいと勧めました。最初は二人から始められ、将来大きく発展させることもできますしね。

鳴子の人や鳴子にかかわるすべての人を元気にしたいです

3Wプロジェクトの仲間と:3WプロジェクトではiSB公共未来塾の修了生が中心になり、女性による女性のためのこどもと女性がともにつくるプロジェクトを実践しています。

Q:今後どのように事業を展開・発展させていきたいですか?

将来は、鳴子って言ったら「行ったことある」「今度行くよ」「いいところだよね」と東京で耳にすることが増え、鳴子にいる人も元気でいてくれる状態にできればいいなって思います。起業したことで、それまで想いだけで何も行動できてなかったんじゃないかという気持ちから、きちんとビジネスとして私は想いをもってやっているんだと堂々と自信をもって関係者に話が出来るようになりました。この気持ちの変化は、今後鳴子の地元の人と一緒になって、鳴子を盛り上げていくためには、とても大切なことではないかと感じています。

一般社団法人エンジョイ鳴子代表の中川由紀さん(左)と支援者の藤岡喜美子さん(パシオンTOKYO インキュベーションマネージャー、公益社団法人日本サードセクター経営者協会)(右)

  • 中川由紀氏と起業応援サポーター パシオンTOKYO インキュベーションマネージャー 藤岡喜美子氏

(起業応援サポーターリンク: パシオンTOKYO)

女性起業家プロフィール

一般社団法人エンジョイ鳴子

 

プロフィール

会社名:一般社団法人エンジョイ鳴子

代表者:代表理事 中川由紀

業種:鳴子に関連する商品の販売及び商品開発

起業応援サポータープロフィール

パシオンTOKYO

住所:東京都大田区大森北2-3-15 第15下川ビル4階

電話:03-6423-1840

Website: http://passion-tokyo.com/

E-Mail: info@passion-tokyo.com

藤岡 喜美子 パシオンTOKYO インキュベーションマネージャー
公益社団法人日本サードセクター経営者協会執行理事
東京海上火災保険(株)勤務。地区推薦の町議会議員をへて現職。市民、行政、企業の3つのセクターに身をおいた経験から複数の自治体で政策アドバイザーを務める。約800件の起業支援実績がある。内閣府新しい公共の推進会議委員等政府委員歴任。著書「稼ぐNPO~利益をあげて社会的使命へ突き進む~」2016年株式会社カナリアコミュニケーションズ。

取材・文・撮影/牧口昌代 (中小企業診断士)

大手メーカー勤務後、米系企業の日本法人を経て、責任者として日本企業の株式上場を果たす。以来、ベンチャー企業の上場支援、再生支援、M&A業務に携わる。2008年独立。ハンズオン支援を主とし、現在もスタートアップ企業や老舗ベンチャー企業など複数社の取締役を務める。中小企業診断士。